一宮市・妙興寺(方丈) 如意輪観音菩薩坐像


種別 | Sculptures |
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詳細
妙興寺境内の方丈には室町時代に制作された如意輪観音菩薩坐像が本尊として祀られています。高さは41.4㎝。ヒノキ材で作られた寄木造の仏像で、一宮市指定文化財である。如意輪観音は、髻を結い、宝冠をつける姿で、額に白毫相をあらわし、首に三道相をあらわしている。上半身に条帛と天衣、下半身に裙と腰布をつけ、装身具を身につけている。頭をやや右に傾けて、輪王坐と呼ばれる姿勢で蓮の上に座わり、右手は、1本は頬に手を添え思惟する仕草をあらわし、残り2本は如意宝珠と数珠を持っている。左手は、1本は手のひらを下に向けて妙高山に触れる仕草をし、残り2本は蓮の花と法輪を持っている。如意輪観音は「輪が転がるようにどこにでも姿をあらわし、如意宝珠のようにあらゆる願いを叶える」存在とされ、右手にもつ如意宝珠と左手にのせる法輪はこの観音菩薩の精神をあらわすシンボルと言える。体や衣装は金泥で彩色され、衣の部分には金箔を細く切った切金を使って文様があらわされており、目には玉眼が施されている。
室町時代の妙興寺は、応永年間に3度の火災にも見舞われたが、この如意輪観音像をはじめ、仏殿に安置される大照禅師と大応国師の頂相彫刻、達摩大師坐像、大権修理菩薩倚像など、室町時代の時代の妙興寺の姿を伝える作品が現在も残されている。

