稲沢市北市場町 亀翁寺の木造虚空蔵菩薩坐像


種別 | Sculptures |
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詳細
曹洞宗の寺院・亀翁寺に安置される虚空蔵菩薩坐像。現在は、本堂裏手にある文化財収蔵庫に安置されており、通常は非公開である。昭和28年に解体修理が行われた際に『宝篋印陀羅尼経(ほうきょういんだらにきょう)』と『虚空蔵経(仏説如意虚空蔵菩薩陀羅尼経)』が発見されており、そこに康安元(1361)年9月13日の年号・日付と比丘慈因という名が確認されている。これらの写経(納経)は巻子状に装丁されて現在は再び像内に納められている。
慈因により写経が行われた「13日」は三十日秘仏による虚空蔵菩薩の縁日でもある。また、康安元年は6月に東海・南海地震が起こった年ともされている。同年9月には覚誉が地震を払うための尊星法を行った事例などもあることから、本像も同年に起こった大地震を契機とした造仏の可能性も考えてみてもよいかもしれない。
本像は秘仏として祀られてきたこともあり、保存状態もよく、宝冠などの装身具や持物も当初のものが残されており、衣には盛上文様も見ることができる。亀翁寺では、数え年13歳になった子どもたちが健やかな成長を虚空蔵菩薩に祈る十三参りが現在も行われている。(2019年3月更新)

