一宮市・耕雲院 木造大日如来坐像
種別 | Sculptures |
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詳細
耕雲院は、一宮市大和町にある臨済宗妙心寺派の寺院で、妙興寺住持であった進叟性勝(生年未詳〜嘉吉元年(1441)入寂)を開基とする妙興寺の塔頭寺院の一つである。院内に祀られる進叟禅師の頂相彫刻(高さ35.5㎝)は一宮市市指定文化財である。耕運院の本尊・大日如来坐像(高さ47.2㎝)は、南北朝時代に制作された寄木造の仏像で、一宮市指定文化財である。目には玉眼が用いられ、体や衣は金泥で彩色されている。大きく、ゆったりと流れる衣の襞にも特徴が見られる。
大日如来は、密教において、宇宙の真理をあらわす仏とされており、宝冠や瓔珞を身につける菩薩のような姿であらわされ、胸の前で智拳印(ちけんいん)を結んでいる。蓮華座の上に結跏趺坐しているが、左足を上にして両足を組む点も本像の特徴の一つである。禅宗寺院に大日如来が本尊として祀られることは珍しいが、妙興寺では本尊・釈迦如来坐像の光背にあらわされる宝塔の中にも大日如来があらわされていることから、本像も妙興寺の信仰の中で制作された一尊像と考えられる。本像の制作には、妙興寺の本尊と同様に院派仏師(いんぱぶっし)が関わった可能性が指摘されている。